春の小川を取り戻す Human Bandage Japan 石井健三

 実は東京は水の都でした。
玉川兄弟が羽村市の多摩川から用水を神田まで引き、江戸の生活を支えたのです。
そして渋谷区では、湧き水がたくさんあり、渋谷駅の前は実は川が流れていたくらい水と人々の暮らしが交わっていたのです。

 昭和39年に東京オリンピックが開催されることとなり、主会場や選手村があった渋谷区では下水道の整備に困ります。
そこで取られた対策が、既存の川を下水道として使い、上にフタをかぶせてしまうという方法でした。確かに工期が限られ、オリンピックの開催までに間にあわさなければならないという事情があったであろうことは理解出来ます。
しかし、そのまま50年間もその状態を放置してしまったことが本当に正しかったのか。

 今、私たちが動かないと、かつての川たちは二度と太陽を見ることもなくなってしまうのではないでしょうか。

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春の小川のふるさと

 渋谷区立山谷小学校は2010年、創立90周年を迎え、周年事業実行委員会では、単に記念行事を行うだけではなく、10年後の100周年を見据え、10年間活動出来るテーマを検討しました。唱歌『春の小川』は、作詞者・高野辰之博士が、学校の近くを流れていた河骨川(こうほねがわ)をお嬢様と散策した様子を歌ったもので、「春の小川のふるさと・山谷小学校」を学校のキャッチフレーズとして使っていることから、“春の小川の流れを取り戻そう”ということをテーマに活動することにしました。

 河骨(こうほね)とはスイレン科の花で、清流にしか育ちません。山谷小学校の校庭にある河骨は暗渠となってしまう前に地元のかたが採取、ご自宅で40年間栽培し続けたものをお分けいただいた固有種の河骨です。

 年間80コマを超える課外授業「さんやチャレンジスクール」などの学習活動を通じて、川の歴史、川の自然環境、歌の詩や曲の世界、川と暮らしとのかかわり等の理解を深めるとともに、児童・先生・保護者・地域の方々などに参加していただく活動をつうじて、10年後に川の流れを取り戻すことを実現したいと考えています。都会にふるさとを感じられる美しい環境を次の世代に残す活動。そこに、何かあたたかいものを感じています。

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『春の小川』
元東京ディズニーランド総合プロデューサー・堀貞一郎 作

記憶を記録に残す

 2012年は唱歌「春の小川」が発表されて100周年を迎えます。
その年にかつての清流の姿を知っている方々の証言を記録した映画を製作中です。
2011年3月6日には港区のエコプラザで、予告編の上映会が開催されました。
 人々の記憶を記録に残し、次の世代に伝えることも大切なことです。
まだまだ撮影は続きますが、多くのかたがこれを観て、川のある暮らしのすばらしさを感じ、かつて私たちが高度経済成長の名のもとに失ってきた大切なものへの想いをめぐらせていただければ・・・と思います。
もし、これらについて語ってもいい、資料を持っているという方がいらっしゃいましたら、こちらまでご連絡下さい。

動画再生はこちらをクリックしてください。

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